Title:橋
Size:h 31.5 X w 36.2 cm
Date:1975
若いころ、製缶工場で働いたことのある私は、この”五号橋”の赤い円弧状の大鉄管をひと目みたとき、すぐ工事にあたった人たちの言いしれぬ苦労を察した。
苦労といえば、なくなった私の母もそうであったが、この天草の島々にも、働くことだけに生きてきたかのような、純粋なおとなたちが大ぜいいて、やがて年老いては、そのつつましい一生をおわるのであろう。
おなじ「汗」でも、この”橋”のようにりっぱな遺産となって、ながく残るものもあれば、私の母のように、めぼしいものひとつのこさず死んでいく「汗」もある。
いずれにせよ、それが人生というものであろう。
たとえ作品はどうでも、せめて子供たちの心の中に胸うずく実感として、いつまでも住みおおせるような、そんな生き方はできないものか...と私はおもう。


